「環境首都創造フォーラム2017 in 奈良」を開催しました

環境首都創造フォーラム2017 in 奈良開催報告

「環境首都創造フォーラム2017 in 奈良」を11月20、21日に奈良ロイヤルホテルで開催しました(2日間あわせて、のべ約200人の自治体首長、自治体職員、NGOメンバー、学識者が参加)。
今年のテーマは「地域力をパワーアップ~持続可能で豊かな地域社会、脱炭素社会をめざして~」。その様子をご報告します。

<第1部(1日目)>

【趣旨説明と課題提起】

冒頭に、本会代表の杦本より趣旨説明と課題提起を行いました。
内容としては、まず背景として、気候変動が進み、人類文明の根幹である気候の安定が崩れ始めていること、これに対し国際社会では、パリ協定やSDGs(持続可能な開発目標)の採択など、立ち向かっていこうという動きがあることを提示しました。
続いて、この動きに対して国内ではまだ十分に対応しきれておらず、これらが求める持続可能で豊かな社会を構築するために、協力してどう行動していくかを議論したいと提起しました。

【テーマ1:ひとりひとりの社会参画力とコミュニティのパワーアップ】

続いてテーマ1では、龍谷大学の白石克孝教授からミニレクチャーを、くらしを見つめる会の内田洋子さんから事例発表をいただきました。
白石教授のレクチャーは、大学が地域に関わり学生が地域に出ていくことで、地域も学生も変わりつつある事例についてのご発表でした。このご発表から、今の若者は、現代的な個人主義を求めると同時に共同体への帰属願望があること、あわせて受け入れる地域としては、コミュニティが外に開かれていること、それにより交流人口を定住人口とする自己革新が求められること、これらが社会参画力向上のポイントになることが共有されました。
内田さんのご発表は、とさっ子タウンというこどもの仮想のまちをつくり、そこで就職や納税、選挙等を行うことで、こどもたちが大人になっていくという事例についてでした。この取り組みは、こどもたちはもちろん、支える高校生や大学生などにも社会を知り自らを顧みる機会となっており、こうしたことを通じて、社会参画力の向上につながるであろうことが共有されました。

【テーマ2:環境と地域特性を活かした産業の活性化と雇用の確保】

続くテーマ2のセッションでは、飯田市の竹前雅夫部長と一般社団法人kikitoの大林恵子代表理事から事例発表をいただきました。
竹前部長のご発表は、飯田市では公民館活動や協議会、自治組織など、多様な人が自由に意見交換するという経験や歴史があり、様々なイノベーションが起こってきたこと、その中で人材や技術、資金が地域で循環してきたことについてでした。また、良い地域を創出するには、特に、個人や共同体が当事者意識を持つことが重要ということについてでした。
大林さんのご発表は、木々と私たちの関係を再生するという観点から、間伐材(森林成長のために間引きした木材)を買い取り、製品開発をされてきた取り組みについてでした。その議論の中では、行政の補助金や支援のあり方なども議論され、あわせて、行政の縦割りを打破し、政策の統合を進めていく必要があるとの意見が交わされました。

最後に、初日の総括として、当事者意識を持ち、継続して協力していくことの重要性が示され、初日のセッションが終わりました。

<第1部(2日目)>

【テーマ 3:景観・まちなみの保全と創生、地域全体としてのエコツーリズム】

テーマ 3 は景観・まちなみとエコツーリズム。開催地奈良市の特長を捉えたテーマによるセッションでした。
このセッションでは、京都府立大学の宗田好史教授と内子町の稲月道隆様からミニレクチャーと事例発表をいただき、ディスカッションを行いました。
宗田教授のミニレクチャーは『景観の美しさは地域力をアップする~環境に正しい選択は、美しい町や村に現れ、社会を健全化する~』。「現代は過疎から文化遺産などを守る時代となってきており、そのためには交流人口を確保し、若者を引き付けること、即ち若者に選ばれる町にしていくことが求められる。ついては、文化・景観・観光を充実させていくことが重要であり、これは環境に配慮したまちづくりでもある。」という内容でした。また、稲月様の事例発表は『町並から村並へ 持続可能な町づくり』。内子町で実施されてきた町並保全から村並保全に向けての取り組みのご発表でした。
ディスカッションの中では、前日に引き続き、人口減少に伴い自治体職員も減る中においても、自治体内の縦割りを打破し政策を統合していくことがポイントになるだろうなどの意見が交わされました。

この後、自治体政策評価オリンピックを通じて選出された先進事例の紹介及び共有の時間を挟み(先進事例の詳細は、別号で報告予定)、開催地である奈良市の仲川げん市長から、フォーラムという円卓会議を行うことの重要性等を鑑みたご挨拶があり、また分科会(下記)を行い、今年度の環境首都創造フォーラムが終わりました。

<第2部(分科会)>

【分科会 1:再生可能エネルギー】

岩手県紫波町の木質バイオマス地域熱供給事業、奈良県吉野町の小水力発電と地域づくりの取り組み、おひさま進歩エネルギー株式会社からこれまで及び今後の取り組み、環境エネルギー政策研究所から再エネの世界及び国内の動向と都市部での取り組みについて、事例発表後ディスカッション。奈良県内での取り組みも紹介され、積極的な情報の交流がなされました。

【分科会 2:ひとりひとりの社会参画力 ESD・環境教育 コミュニティ力】

福井県勝山市のわがまち魅力発散事業、奈良市の子ども会議及び子どもにやさしいまちづくり条例、岐阜県垂井町のまちづくり協議会の取り組み、中部環境パートナーシップオフィスの揖斐川流域でのESD(持続可能な開発のための教育)の取り組みについて、事例発表後ディスカッション。個人の能力向上とそれを地域につなげる方法、それに求められる役割について議論がなされました。

【分科会 3:地域遺産・資産を活かし、次世代に伝える】

舞根森里海研究所長からのミニレクチャーと、熊本地震を教訓としたくまもと未来ネットの取り組み、熊本県水俣市の村丸ごと生活博物館の取り組み、奈良市の春日山原始林を未来へつなぐ会の取り組みについて、事例発表後ディスカッション。各地の地域遺産や資源について、各参加者が新たな視点や気づきを得る場となりました。

 

このフォーラムは、活動を通じて明らかになった持続可能な社会を創るうえでの社会的課題をテーマに、環境首都創造ネットワークのメンバー(市区町村長、研究者、NGOメンバーなど)がディスカッションします。

 

また、そこで得られた成果などを各地での具体的な行動につなげていくために開催しています。

 

「環境首都創造フォーラム2017 in 奈良」 概要

【フォーラムの趣旨】

2016年11月、パリ協定は採択から1年を待たずに発効しました。また、国連は「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」を全会一致で採択し、17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」を掲げました。世界は、まさに脱化石エネルギー時代、持続可能な社会へ向けて大きく舵を切ろうとしています。
これらの世界的な動きは、気候変動、生物多様性などの環境問題をはじめとして、貧困、格差、人権、平和、資源、エネルギー、経済等の諸問題を解決しなければならないという強い決意を示すものといえます。このような課題に取り組まなければならないのは、日本の地域社会も同様であり、地域社会はその変化による社会的影響も大きく受けます。さらに私たちの地域社会には、人口減少、高齢化、雇用の確保、地域の文化や環境の保全など、様々な課題にも取り組む必要があります。
本フォーラムは、このように大きく社会が変わろうとする時代において、環境首都、そして持続可能で豊かな地域社会をめざす自治体首長・職員とNGOメンバー及び研究者が集い、これからを考える場です。セクターを超えて情報共有と建設的な議論を行い、その成果を各地での実践に活かすとともに、活動展開への推進力を創出するために毎年度開催しています。
奈良フォーラムは、「地域力のパワーアップ」をテーマに、環境問題への解決と合わせた地域産業の活性化と雇用の創出、ひとりひとりの住民の社会参画力とコミュニティ力をより向上するための方策などについての議論を深め、持続可能で豊かな地域社会、脱炭素社会の実現に向けての必要な政策を明らかにすることを目的に開催します。

○日 時   2017年11月20日(月)、21日(火)
○会 場  奈良ロイヤルホテル(奈良市法華寺町254-1)
最寄り駅:近鉄電車新大宮駅から徒歩約12分
(京都駅で近鉄に乗り換え約36~48分)
○参加費
環境首都創造ネットワーク会員自治体(年会費Aの自治体) 無料
環境首都創造ネットワーク会員自治体(年会費Bの自治体) 1万円(2日間)/人
環境自治体会議会員自治体 1万2千円(2日間)/人
環境首都創造ネットワーク、環境自治体会議とも非会員の自治体 2万円(2日間)/人
環境首都創造ネットワーク会員NGO、研究者 5千円(2日間)/人
環境首都創造ネットワーク非会員NGO、研究者 2万円(2日間)/人
○主催 奈良市・環境首都創造ネットワーク・環境首都創造NGO全国ネットワーク
○協力 環境自治体会議

【日程・内容】

< 11月20日(月) 第1部(1日目)13:00~17:00 >
【全体進行】奈良市長 仲川げん、環境首都創造NGO全国ネットワーク代表幹事 杦本育生
【総合司会】NPO法人環境市民 副代表理事 下村委津子

■市区町村長と環境NGO、専門家によるディスカッション
全体テーマ

「地域力をパワーアップ ~持続可能で豊かな地域社会、脱炭素社会をめざして~」

12:15 開場
13:00 開会
1.主催者あいさつ     奈良市長 仲川げん
2.趣旨説明と課題提起   環境首都創造NGO全国ネットワーク代表幹事 杦本育生

ディスカッションテーマ1
「ひとりひとりの社会参画力とコミュニティのパワーアップ」
3.事例発表・ミニレクチャー
【ミニレクチャー】ひとりひとりの社会参画力とコミュニティのパワーアップ ~若者を惹きつけるには~(龍谷大学政策学部教授 白石克孝氏)
【事例発表】若者主体で進めるこどもの仮想のまちづくり~とさっ子タウンの若者を育む仕組み~(くらしを見つめる会代表 内田洋子氏(とさっ子タウン実行委員))
4.参加者によるディスカッション
15:00 休憩

ディスカッションテーマ2
「環境と地域特性を活かした産業の活性化と雇用の確保」
5.事例発表
【事例発表】イノベーションが起こる地域社会創造を目指して ~求められる共創の場づくり~(飯田市長 牧野光朗氏)
【事例発表】つながりから生まれる笑顔(一般社団法人kikito代表理事 大林恵子氏)
6.参加者によるディスカッション
7.本日の議論・成果のまとめ
17:00 本日のディスカッション終了予定

< 11月21日(火) 第1部(2日目)8:30~12:00 >
【全体進行】奈良市長 仲川げん、環境首都創造NGO全国ネットワーク代表幹事 杦本育生
【総合司会】NPO法人環境市民 副代表理事 下村委津子

8:30 開会

ディスカッションテーマ3
「景観・まちなみの保全と創生、地域全体としてのエコツーリズム」
1.事例発表・ミニレクチャー
【ミニレクチャー】景観の美しさは地域力をアップする~環境に正しい選択は、美しい町や村に現れ、社会を健全化する~(京都府立大学教授・副学長 宗田好史氏)
【事例発表】町並から村並へ 持続可能な町づくり(内子町町並振興課グリーンツーリズム係長 稲月道隆氏)
2.参加者によるディスカッション

■先進事例の発表と交流(自治体政策評価オリンピックから)
3.事例紹介
【事例発表】福知山市「みどりのカーテンを基軸に環境基本計画を推進!福知山市(福知山環境会議)の取り組みご紹介」(福知山環境会議副代表 土田真奈見氏)
【事例発表】湖南市「市民共同発電事業と地域新電力事業について~地域にある自然エネルギーを活用した持続可能なまちづくり~」(湖南市総合政策部地域創生推進課地域エネルギー室 池本未和氏)
【事例発表】豊中市「食品ロス削減(食品ごみ発生抑制)の取組み」(豊中市環境部環境事業長 勝井隆文氏)
4.参加者による質疑応答
5.第1部 閉会あいさつ     奈良市長 仲川げん
12:00 第1部閉会

< 11月21日(火) 第2部 13:00~16:20 >

■「地域から日本を変える!環境先進事例の交流とディスカッション」

<趣旨>
気候変動をはじめとする地球環境問題が深刻化し、さらには経済の不安定化や社会的格差が広がる現在、私たちの課題は、「地域から持続可能で豊かな社会を築いていくこと」です。そのためには、個々の努力にとどまらない、社会のシステム(仕組み)を、“地域”から変えていく具体的な行動が求められています。私たちの暮らす自治体は、地球環境保護とより良い生活基盤の創出という重要な役割を担っています。
第2部では、3つの分科会で、持続可能な地域社会づくりの参考になる先進的な取り組みの発表とディスカッション、人的交流をすることにより、各地の取り組みの推進に活かしていくとともに、市区町村長、職員、住民、環境NGO、専門家のネットワークを深めます。

12:40 開場
13:00 開会

分科会1
「再生可能エネルギー(熱利用、バイオマス、未利用エネルギー、都市部の取り組みを中心に)」
事例発表
【事例発表】岩手県紫波町 木質バイオマス地域熱供給事業(紫波グリーンエネルギー株式会社/サステナジー株式会社 代表取締役 山口勝洋氏)
【事例発表】地域協働ですすめる再生可能エネルギーのこれから(おひさま進歩エネルギー株式会社 海部岳裕氏)
【事例発表】限界集落に希望の光を灯したい~戦後開拓地『殿川』の取り組み(殿川小水力発電研究会 吉村耕治氏)
【事例発表】まちなかでの再生可能エネルギーの取り組み(認定NPO法人環境エネルギー政策研究所 理事・主席研究員 松原弘直氏)
<コメンテーター> 気候ネットワーク事務局長 田浦健朗氏
<コーディネーター>奈良市地球温暖化対策地域協議会副会長 吉田誠宏氏

参加者によるディスカッション

分科会2
「ひとりひとりの社会参画力 ESD・環境教育 コミュニティ力」
事例発表
【事例発表】勝山市わがまち魅力発散事業(勝山市長 山岸正裕氏)
【事例発表】奈良市子ども会議と子どもにやさしいまちづくり条例(奈良市子ども政策課長 真銅正宣)
【事例発表】垂井町のまちづくり協議会の取り組み(岐阜県垂井町東地区まちづくり協議会副会長 NPO法人泉京・垂井副理事長 神田浩史氏)
【事例発表】揖斐川流域のESDの取り組み(中部環境パートナーシップオフィス協働コーディネーター 河合良太氏)
<コメンテーター> 龍谷大学政策学部教授 白石克孝氏
<コーディネーター>環境自治体会議環境政策研究所理事長 小澤はる奈氏
<サブコーディネーター>環境市民コーディネーター 未来の子共同代表 大西康史

参加者によるディスカッション

分科会3
「地域遺産・資産を活かし、次世代に伝える」
事例発表・ミニレクチャー
【ミニレクチャー】地域の自然遺産・資産を活かし、次世代に伝える(舞根森里海研究所長 田中克氏)
【事例発表】地震の教訓から持続可能な社会創りへ“くまもと未来ネット”(くまもと未来ネット 副代表理事 原育美氏)
【事例発表】水俣市の「村丸ごと生活博物館」の取り組み(水俣市環境課長 一期崎充氏)
【事例発表】春日山原始林を未来へつなぐ取り組み(春日山原始林を未来へつなぐ会幹事(普及啓発WG) 高橋まどか氏)
<コメンテーター> 京都府立大学教授・副学長 宗田好史氏
<コーディネーター>環境市民副代表理事 下村委津子

参加者によるディスカッション

本フォーラムの開催費用の一部は、独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成金を使用しています。

 

これまでの経緯

環境自治体をつくる 市区町村長と環境NGOの戦略会議

1999年から毎夏、京都で2日間の日程で、2006年度まで7回開催しました。

 

環境首都をめざす自治体 全国フォーラム

2007年度からは名称を改め、環境首都コンテストに参加する自治体との共催かつ開催地持ち回りで開催していくことになりました。

2007年度は山口県宇部市、2008年度は長野県飯田市、2009年度は愛知県安城市、2010年度は熊本県水俣市で、計4回開催しました。

 

環境首都創造 自治体全国フォーラム

2011年度からは、環境首都創造NGO全国ネットワークの設立に伴い、名称を変え、2011年度は愛知県新城市、2012年度は奈良県生駒市、2013年度は静岡県掛川市で計3回開催しました。

 

環境首都創造フォーラム

2014年度からは、環境首都創造フォーラムと名称を変え、2014年度は京都府京丹後市、2015年度は鳥取県北栄町、2016年度は山口県宇部市で開催しました。

前年度のフォーラムについて

2016年度は、2017年1月18日〜19日の日程に山口県宇部市で開催されました。

プログラム(環境首都創造フォーラム2016年度in宇部

独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて製作しました
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