第4回の結果概要

応募の状況

(1)参加自治体総数の変化

今回、本コンテストの参加自治体総数は75自治体となりました。第1回から4年連続して参加されている自治体が29、第2回から3年連続して参加されている自治体が19、第3回から2年連続して参加されている自治体が11ありました。また第1回、もしくは第2回に参加し、第3回には参加しなかったものの、今回参加した自治体が2ありました。初参加のところは、14自治体でした。

参加総数は、第1回が93自治体、第2回が115自治体、第3回が83自治体、そして今回が75自治体と第2回を頂点として参加自治体数は減少しております。その応募状況の要因について考察していきます。

(2)市町村合併の影響

参加自治体数減少の最も大きな要因として、昨年同様市町村合併による影響があります。第1回から第3回の本コンテストに参加した自治体からも、「合併事務の発生によりコンテストに参加できる状態ではない」、「合併直後で自治体全体のデータが整わない」との声をしばしば聞きました。

しかしその一方で、合併を間近に控えて多忙を極めているにも関わらず、参加を英断された熱意ある自治体も少数ながらありました。また、合併前に環境施策を点検し、合併後に活かそうと考えて参加したというケースもありました。さらに、合併を終え、今後目指す環境に関する施策を検討する際の参考するために参加したという自治体もありました。

ただし、参加自治体総数は減少しましたが、合併で市町村数自体が約3,200から約2,600(2005年3月末現在)へと減少しており、参加自治体の、国内自治体総数に対する割合で見れば減少はしていません。

(3)参加自治体の特徴(人口規模別)

人口規模別に見ると、まず第1群(人口2万未満)は新規参加の自治体が多い一方、継続的な参加自治体が少ないという傾向が見てとれます。この第1群には、市町村合併などの渦中にある自治体が多いため、今後の参加は流動的であると予想されます。

第2群(人口2万以上、5万未満)の参加自治体は第1回から徐々に減少しているものの、比較的連続して参加する自治体が多いのが特徴です。第1群と同じく市町村合併の渦中にある自治体が多いにもかかわらず、本コンテストを足がかりに環境施策を進めている自治体もあり、今後の進展が楽しみです。

第3群(人口5万以上、10万未満)、第4群(人口10万以上、30万未満)の参加数は昨年とほぼ同じです。そして連続参加の自治体も新規参加の自治体も満遍なくあるという状況です。

第5群(政令指定都市を除く、人口30万以上)は前回から比べて減少しているものの、その多くが連続参加自治体です。他の自治体との競争意識が比較的強いこと、基礎体力が強く、以前の結果を施策に反映しやすいことなどが、その理由だと考えられます。

最後に第6群(政令指定都市)ですが、今年も広島市のみの参加となりました。今後より多くの政令指定都市の参加を強く望みます。

なお、市町村合併による自治体数の激変を踏まえて、次回から人口規模群の割り方を再検討することも考えております。

(4)参加自治体の特徴(地方別)

地方別に見ると、関東、中部の参加自治体が多くなっています。まず関東では、昨年同様神奈川県下の自治体が多いのが特徴です。そして中部でも、昨年同様その多くを愛知県下の自治体が占めていることが分かります。

それ以外の地方ですが、以下のような結果となりました。まず北海道と東北ですが、前回と比べそれぞれ1自治体、5自治体とわずかではありますが増えました。近畿は、昨年と比べ減少が目立ちました。参加がなかった奈良県、和歌山県の自治体を含め、より多くの自治体に参加していただくことが今後の課題となっています。中国、四国地方は第1、2回目から比べると減少が目立ちます。これは、市町村合併を抱える自治体が非常に多いことも大きく関係していると思われます。最後に九州地方ですが、熊本県下の自治体の参加が目立っています。

参加自治体一覧

集計結果の概要

(1)「日本の環境首都」の称号

「日本の環境首都」の条件を満たした自治体はありませんでした。

(2)入賞・表彰自治体

総合順位では水俣市(第2群)が1位となりました。同市は第1回のコンテストから着実に順位を上げ、前回の2位から今回は初の1位となりました。第 2位には水俣市と同じ第2群の新城市が入りました。同市は前回の8位からの大幅に順位を上げており、これからの施策に対する期待も高まります。第3位には、昨年総合1位を獲得した多治見市(第4群)が入っています。また、田原市が7位に入るなど、昨年同様、比較的人口規模の小さい自治体の健闘が光りました。

また人口規模別での上位自治体を見ていくと、第1群と第3群の自治体は、総合10位入賞は果たせなかったものの、先進事例集に掲載される取り組みを持つなどのユニークな事例を持っているところが多くなっています。ニセコ町(第1群・第1位)や武生市(第3群・第1位、現越前市)などはこれからの施策の展開しだいでは総合順位でも上位への入賞が期待されます。

総合順位(上位10位)

第1位

熊本県水俣市

第2位

愛知県新城市

第3位

岐阜県多治見市

第4位

兵庫県尼崎市

第5位

広島県広島市

第6位

熊本県熊本市

第7位

愛知県田原市

神奈川県大和市

第9位

長野県飯田市

第10位

愛知県安城市

人口規模別順位(上位2位)

人口2万人未満

第1位

北海道ニセコ町

第2位

徳島県上勝町

人口2万人以上5万人未満

第1位

熊本県水俣市

第2位

愛知県新城市

人口5万人以上10万人未満

第1位

福井県武生市

第2位

大分県日田市

人口10万人以上30万人未満

第1位

岐阜県多治見市

第2位

神奈川県大和市

政令指定都市をのぞく
人口30万人以上

第1位

兵庫県尼崎市

第2位

熊本県熊本市

※政令指定都市は参加が1自治体のみであったため、人口規模別の表彰は今回は取りやめさせていただきました。

(3)部門別の結果

前回と同様、総合得点以外にも「地球温暖化防止部門」と「住民参画部門」の部門別得点の集計も行いました。これは、質問の中でそれぞれの部門に関係する質問やその選択肢を抽出し、その得点を集計したものです。各部門別においても、総合上位入賞自治体が上位を占めており、総合的な施策を展開している自治体は、部門別にみても健闘しています。中でも水俣市は両部門で人口別第1位を獲得しており、自治体の努力の成果が現れています。同時に二ツ井町(地球温暖化部門・第1群、現能代市)や豊中市(同・第5群)などの自治体もそれぞれの施策の特長と努力が反映された結果、1位を獲得しています。

部門別表彰(人口規模別上位1位)

地球温暖化
防止部門

人口2万人未満

秋田県二ツ井町

人口2万人以上5万人未満

熊本県水俣市

人口5万人以上10万人未満

福井県武生市

人口10万人以上30万人未満

長野県飯田市

政令指定都市をのぞく
人口30万人以上

兵庫県尼崎市

住民参画部門

人口2万人未満

北海道ニセコ町

人口2万人以上5万人未満

熊本県水俣市

人口5万人以上10万人未満

福井県武生市

人口10万人以上30万人未満

岐阜県多治見市

政令指定都市をのぞく
人口30万人以上

大阪府豊

(4)全国の自治体の平均値・最高値

全体平均値の得点率が最も高かったのは、「K 風土を活かした景観形成と公園づくり」(平均値:16.4点、得点率:32.8%)で、次いで「D 率先行動・エコオフィス」(平均値:19.1点、得点率:31.8%)、「J 健全な水循環」(平均値:12.6点、得点率:31.4%)、「N ごみの減量化」(平均値:18.5点、得点率30.8%)、「A 環境基本条例・ローカルアジェンダ21・環境基本計画」(平均値:30.7点得点率: 30.7%)、「B 環境マネジメントシステム」(平均値:15.2点、得点率:30.3%)となっています。

しかし「F 職員の資質・政策能力向上と環境行政の総合化・予算」は、今年も得点率、最高点ともに他と比較して低く(平均値:7.3点、得点率: 7.6%、最高得点率:37.9%))、この項目は自治体共通の課題であるといえます。また、「H 環境学習」は、持続可能な地域社会の担い手を育成するための重要な項目ですが、得点率:17.3%と低く、地域の実情に合わせた取り組みが望まれます。

「E 自治体交流」(平均値5.9、得点率14.6%)や「L エコロジカルな交通政策」(平均値:10.1点、得点率:18.4%)は、平均得点率は高くないものの、最高得点率はそれぞれ62.5%、70.0%と低くはなく、積極的に取り組んでいる自治体も存在していることを示しています。

人口規模別で見ると第1群の自治体がC、Lの最高点を、人口規模第2群の自治体が、B、D、E、F、H、I、M、Oの各項目の最高点を獲得しています。予算規模が大きく施策数の多い自治体ではなく、人口規模の小さい自治体での取り組みが実を結んでいることは注目に値します。

昨年までは、各項目とも得点率0%の自治体がありましたが、今年は、D、J、K、Nで得点率0%の自治体はなくなりました。しかし、施策の進んでいる自治体との格差は大きく、さらなる取り組みを期待したいと思います。

また、昨年の平均値と比較すると、多くの項目、総合点で今回の結果が上回っていることがわかります。

質問項目 配点 平均値(最高値)
全体 第1群 第2群 第3群 第4群 第5,6群
A 環境基本条例・ローカルアジェンダ21・環境基本計画

100

30.7

(68)

32.2

(60)

25.9

(57)

30.9

(68)

30.6

(61)

34.4

(48)

B 環境マネジメントシステム

50

15.2

(43)

7.1

(22)

16.6

(43)

13.2

(33)

15.7

(34)

23.0

(37)

C 住民とともにチェックする仕組み・情報公開

55

15.6

(44)

12.3

(44)

13.4

(37)

11.1

(22)

19.7

(37)

22.8

(39)

D 率先行動・エコオフィス

60

19.1

(38)

14.0

(31)

20.6

(38)

17.2

(26)

19.7

(32)

24.2

(35)

E 自治体交流

40

5.9

(25)

9.1

(21)

8.1

(25)

3.5

(9)

4.2

(18)

7.6

(23)

F 職員の資質・政策能力向上と環境行政の総合化・予算

95

7.3

(36)

7.1

(20)

8.7

(36)

4.6

(15)

7.8

(27)

10.0

(20)

G 住民のエンパワーメントとパートナーシップ

80

20.7

(60)

18.2

(31)

16.5

(54)

16.5

(54)

22.5

(60)

32.6

(48)

H 環境学習

80

13.8

(47)

11.1

(25)

12.8

(47)

8.0

(28)

14.8

(41)

26.4

(47)

I 自然環境の保全と回復

70

17.5

(58)

14.0

(27)

17.2

(58)

12.0

(35)

19.8

(49)

27.1

(46)

J 健全な水循環

40

12.6

(40)

6.6

(11)

11.0

(25)

7.7

(20)

15.9

(40)

23.0

(37)

K 風土を活かした景観形成と公園づくり

50

16.4

(37)

14.3

(23)

15.8

(35)

12.8

(28)

17.8

(33)

23.3

(37)

L エコロジカルな交通政策

55

10.1

(39)

16.7

(39)

9.2

(27)

6.9

(13)

8.2

(19)

14.5

(30)

M 地球温暖化防止・エネルギー政策

75

16.8

(49)

12.9

(24)

16.8

(49)

12.8

(32)

17.4

(37)

26.7

(45)

N ごみの減量化

60

18.5

(42)

15.2

(21)

17.9

(30)

14.9

(29)

19.2

(30)

27.6

(42)

O 環境に配慮した産業の推進

60

12.1

(42)

23.3

(40)

14.2

(42)

8.5

(31)

10.4

(25)

10.0

(18)

P 自由記述

30

7.5

(21)

10.9

(19)

8.0

(17)

4.9

(17)

8.2

(21)

7.8

(15)

先進事例加点

20

5.6

(20)

9.6

(20)

4.8

(20)

3.4

(20)

6.1

(20)

6.3

(18)

総合点

1020

245.3

234.6

237.5

188.9

258.1

347.2

独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて製作しました
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