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投稿者 : kankyoshimin 投稿日時: 2009-09-08 12:26:24 (2299 ヒット)

環境首都コンテスト九州地区自治体交流会 報告

日程:2009年8月25日(火)、26日(水)

開催地:長崎ブリックホール国際会議場

 環境ネットワークくまもとが第1回から参加している環境首都コンテスト全国ネットワークでは、コンテストで得られた情報の共有化及び今後の自治体における効果的な施策検討並びに自治体とのより深いパートナーシップを築いていくことを目的として、コンテストに参加いただいた自治体を中心に、関心のある自治体や市民にも呼びかけて地域単位で情報交流会を開催しています。

 第8回の成果をもとに九州地区では環境ネットワークながさき塾を幹事団体として長崎市で開催され、約150名の参加があり、環境ネットワークくまもとから宮北代表、原副代表、田上理事が参加しました。


第1ステージ 先進事例発表

■小中学生ボランティアリーダー養成講座(長崎市)

 長崎市では、小学校高学年および中学生を対象として、各種ボランティアの体験を通して、学校や地域社会での実践活動に進んで参加するボランティアリーダーを養成している。

 10回の講座を開設し、各種ボランティアの体験を通して、学校や地域社会での実践活動に進んで参加するボランティアリーダーを養成する。(小学生・中学生合同で10回)体験学習を通して社会参加と生活体験の拡大を図り、ボランティアリーダーの養成を図っている。

 大人向けのボランティアリーダー養成講座はよくあるが、子ども向けで一般公募の講座はあまり例がない。社会との関わり方や合意形成の方法、一人ひとりを尊重する態度、個人の社会的責任・自立などについて体験を通して学ぶことのできるプログラムではないだろうか。

■“長崎さるく”事業(長崎市)

 長崎市では、観光という切り口で行政と市民のパートナーシップ深化の相乗効果を発揮している。

 長崎市はさるく観光のPRとウェブサイトを担当し、さるくガイドの交通費を負担する。また事前申し込みが必要な通(つう)さるく、学(がく)さるくや日程管理等はコンベンションセンターが受け持つ。さるくガイドは歴史に詳しい人、もてなしの上手な人など、多くの市民が関わっており全て公募によって決まる。また年間企画等も、さるく推進課とさるくガイドが一緒になって企画し実施する体制が定着している。このように得意分野で広く市民が参加する場があることによって、市民力を発揮し、人材ネットワークができ、行政の各分野における人材発掘にもつながっている。

 2008年には、学生が中心になり市民力で見やすい,分かりやすいさるく立体マップを完成させた。また、長崎さるくのしくみのノウハウは今、全国に情報発信しつつある。

 今年度は、日本観光協会賞も受賞した。

■「NPOと行政との協働推進窓口」制度(佐賀市)

 佐賀市では、NPOからの協働に関する相談や提案を積極的に受け、協働によるまちづくりをすすめるため、「NPOと行政との協働推進窓口」を設置している。この制度は、総合窓口や担当窓口を明確にし、幅広いNPOの活動にも対応できるようにするもので、NPOに負担の少ない制度として平成15年12月から運用している。総合窓口の市民活動推進課のほか、NPO法の17分野に対応する42課53係に担当者54名を配置している。

 すでにNPOが提案した事業を協働の視点で話し合いをすすめ、企画のブラッシュアップを図っている。また、その状況もウエブサイトで公開している。NPOから各課への協働の話し合いや提案の場となっている。

■全国初の「水」のご当地検定制度(熊本市)

 熊本市では、熊本の水(地下水)の魅力や地下水の仕組み、課題など楽しみながら知ってもらう取組を行っている。

 水の保全や魅力アップの担い手を広く育成するもので、イラスト入りのくまもと「水」検定公式テキストブックも作成され、セミナーや学習会、現地バスツアーが開催されるなど着実に大きく広がっている。

 検定試験は1級〜3級となっており、第一回目となる2008年は全国から約8000名が受験した。市民の「水」環境への関心を大きく引きつける内容となっている。

■環境首都まちづくりを住民協働で進める5つの円卓会議(水俣市)

 水俣市では、環境首都まちづくりを市民協働で進めていくため、より具体的な取り組みや事業内容を検討・実施・検証していくために、5つの部会(円卓会議)を設置した。

 円卓会議とは、市民、事業者、行政が同じ一つのテーブルを囲んで、話し合い・実行していくという意味が込められている。

 5つの円卓会議は、「ゼロ・ウェイスト」「食と農と暮らし」「自転車・公共交通」「ISOのまちづくり」「環境学習」で、大学と事業者、市民、議員、NPO、行政が構成員となり、現状と課題を共有する場として、継続的に開催されている。

■菜の花作りをとおした食育の取組み(水俣市)

 水俣市の、菜の花プロジェクトは、現在、菜の花づくり→食用油づくり→学校給食での活用→廃油回収→石鹸づくりと循環している。

 また、廃油回収について検討するNPO(リターンネット)では、小型プラントで廃油をBDF化し、会員の会社構内でフォークリフトの燃料として使用している。

 種子の無料配布を行い、棚田を春先に美しく飾り、菜の花料理教室や野草天ぷら教室を開催し、油絞り機の導入による体験活動を実施している。

第2ステージ フォーラム「環境首都コンテストと持続可能で豊かな地域社会づくり」

 コーディネーターのNPO法人環境市民のすぎ本代表から、環境の問題、その問題の本質は人間の問題であることの本質をきちんと認識しておく必要があり、日本は優秀な技術を持っていながらそれを活かす仕組みが作られていない、太陽光発電の状況にその例をみることができると、問題提起がなされた。

 環境ネットワークくまもとの原副代表から、環境首都コンテストの意義となぜNPOが一生懸命これに取り組んでいるのか、説明と報告が行われた。

 これを受けて、長崎市長と水俣市長の対談が開始された。


【宮本水俣市長】

 水俣病がもたらした未曾有の被害を受けて、公害防止事業は長い年月と莫大な費用をかけて行われている。心のキズはもっと深刻で、もやい直しを合言葉に心のケアに努めている。

 現在、分別リサイクルからゼロ・ウェイストへ向けて取り組みを進め、地域全体丸ごとISO(学校版・保育園幼稚園版)、環境マイスター28名認定、地区環境協定制度、村丸ごと生活博物館など、環境の地域づくりに取り組み、「負の遺産からプラスの資産へ」と水俣挙げて頑張っている。

 「たゆまざる歩みおそろしかたつむり」限界集落から無限可能性の未来へ向けて一歩ずつ頑張りたいと長崎平和祈念像作者の言葉を引用して決意を述べられた。

【田上長崎市長】

 水俣と言えば環境、長崎と言えば平和、「原爆の町から平和の町へ」今から頑張らないといけない。平和でめしが食えるかと言われてきた。長崎が持っているポテンシャルを高める力を引き出したい。町の力(個性)、市民の力(ガイド)、を活かしきりたい。まず、職員出身の市長として、職員のパワーアップを図るため職員力推進室を設置した。「前より良くなることをうれしいと思う」職員を増やしていく。

【宮本水俣市長】

 5年前の産廃処分場反対運動が政治活動の原点。湧水の上に処分場をつくり、その水は水道原水の湯出川へと流れる。産廃の排水が原因である水俣病の被害にあった市民の心をなんと考えているのかと事業者への怒りで心が震えた。この反対運動に戦いを通して、水俣市民のパワーをしっかりと感じた。

 生命をないがしろにした繁栄はあり得ない。加害者も被害者もその子どもたちは一緒の教室で学んできた。いわれのない差別が水俣の内外で行われていた。差別を跳ね返す力を子どもたちに、水俣に生まれて良かったと言える子ども達、生命の大切さを基盤に、そういう子どもたちを育てたい。

【田上長崎市長】

 人間は原爆を落とすこともできる。落とされた人がほかの人を励ますこともできる。平和を通じていろんなことを教えてくれる人がたくさんいる長崎の価値、市長として変わらない価値・目標を設定することでいろんな方策が見えてくる。

【田上長崎市長】

 職員へは「書類を捨てて町へ出よう」と言っている。現場は横割り、総合の行政の見本だ。苦情を言っている市民もまちづくりの仲間である。

【宮本水俣市長】

 市民の役に立つところが市役所である。市民が元気にならないと市も元気にならない。教師をしてきた経験から、情熱のない先生がいるところに学級崩壊が起きる。情熱さえあれば軽蔑はされない。職員には、出来ない理由探しではなく、どうすればできるかをしっかり考えろと言っている。

【田上長崎市長】

 悲劇を乗り越えて幸せを感じた時、負の遺産は精算される。昔とは反対に逆長崎遊学をしろと職員に言っている。見て学んで帰ってくることが大事だ。長崎に新しい風を吹かせるため、お互いに学び合いたい。

これまでにない「環境と平和」というテーマ設定で宮本水俣市長、田上長崎市長に登壇いただき持続可能な自治体づくりに関するお話を伺った。年齢の離れたお二人の市長でしたが、それぞれに懐の深いお人柄がじわーっとにじみ出てきて穏やかな雰囲気で会場が包まれた。双方の自治体がめざすものは「いのちを大切にする地域社会づくり」であると、期せずして目標の共通を確認することができた。田上市長と宮本市長には優しさと揺らぐことのない信念が共通していると感じられた。

第3ステージ 環境首都を目指す自治体・環境活動団体意見交換会

 会場を変えて両市長の参加のもと、市民団体、長崎市の職員、環境首都コンテスト全国ネットワークメンバーが参加し、盛んに交流と意見交換が行われた。

第4ステージ さるく体験

 翌日は、外海観光ボランティアガイド協会会長の山崎政行さんのご案内で長崎通さるくコースの一つ、「長崎の教会群とキリスト教関連施設」夕日が美しいキリシタンの里〜遠藤周作が魅せられた町〜外海界隈をさるきました。


 苛烈なキリシタン弾圧の中で信仰を貫いてきた人々の生き様と、明治にフランスから移り住み一生を住民の生活向上に尽くし信仰の支えになられたド・ロ神父の人生に大きな感銘を受けた。

文責:田上辰也(環境ネットワークくまもと 理事)

※環境ネットワークくまもと発行の「NPO法人環境ネットワークくまもと通信No.71」に掲載される記事を使わせていただきました。

 


投稿者 : kankyoshimin 投稿日時: 2009-06-09 19:30:02 (3490 ヒット)

水俣市三度目の「総合1位」環境首都の称号も目前に

NPO法人 環境ネットワークくまもと 副代表理事 原 育美


第8回環境首都コンテストで水俣市は、2年ぶり3度目の『総合1位』に輝きました。

 総得点726点と、昨年の646点から大幅にアップし1020点満点の71.2%をマークしました。上位10位自治体の平均点は549点ですから、水俣市の環境行政のレベルの高さを改めて実感しています。

 しかも今回は、「日本の環境首都」の4条件のうち、「総合1位」と「総合点が70%(714点)以上」、そして「15分野のうち、満点の50%以下の分野が三つ以下」の3条件をみごとクリアー。残りの条件である『15分野のうち、3分野以上が満点の90%以上』については、「O 環境産業の推進」が93.3%、「B 環境マネジメントシステム」88.0%、「L 持続可能なまちづくりと一体化した交通政策」86.3%と、環境首都まであと一歩という位置に迫りました。

 水俣市の得点の経年変化を見ると、一部項目で多少のアップダウンが見られるものの、全体的に右肩あがりで推移しています(グラフ1)。また、質問内容と配点は毎年一部改訂を行っているため、前年と単純に比較はできませんが、「A 環境基本条例・アジェンダ・環境基本計画」「D 自治体環境基本行動」「F 職員の資質向上、行政の総合的行政・予算」「O 環境産業の推進」が前回比で20%以上、「L 交通政策」は17%得点率が向上したほか、質問15分野のうち9分野で最高得点をマークしました(グラフ2)。これは水俣市が環境を基軸にした地域づくりを着実に前進させていることを物語っています。



環境施策の多面的な拡がりと深化

 水俣市の安定した上位入賞の要因として、施策の多様さとその多面的な広がり、工夫された仕組みづくり、さらに環境施策の深さがあります。施策の多様さを証明するのが8年間で23例にも上る先進事例です(下表)。

第1回(2001年度)
学校版環境ISO制度
環境マイスター認定制度★
第2回(2002年度)
環境にいい旅館・ホテルづくり「旅館・ホテル版ISO」★
相乗り推奨で通勤車両燃料の使用量削減
全ての事業をチェックする環境管理委員会
地区環境協定制度★
村丸ごと生活博物館構想★
環境のまちづくりと一体化した中心市街地活性化基本計画★
第3回(2003年度)
ISO14001自己宣言と市民監査★
900ml茶色ビン統一リユースシステムモデル事業
経済的インセンティブを働かせた事業系ごみの減量
愛林館事業
第4回(2004年度)
畜産版ISO★
地域人財マップ集〜水俣のお宝大辞典〜(2004)
水俣環境賞・市民賞★
第5回(2005年度)
総合的に環境学習を推進する仕組み
村丸ごと生活博物館発展形
地産地消の給食畑
第6回(2006年度)
水俣病公式確認50年事業★
第7回(2007年度)
環境首都まちづくりの組織化
水俣市オリジナル環境ISO「エコ路人」
第8回(2008年度)
環境首都の実現をめざす新環境基本計画★
海藻の森づくり構想

 取り組み分野は多岐にわたり、年を追って発展している事例が少なくありません。地域を見つめ地域資源を活かした独自の施策が多いことも特徴です。例えば「元気村づくり条例」に基づき地域を指定、地域に暮らす人々を「生活学芸員」や「生活職人」として認定し、外からの訪問者を受け入れる「村丸ごと博物館構想」は現在全国から多くの来訪者を呼び込み地域に活気を与えています(下写真)。地域資源と地域価値の再発見事業として注目を浴び、今や全国に波及しています。ただこの成果も一朝一夕で得られたものではありません。「もやい直し」と呼ばれる地域再生活動として、市内26地区の住民が地域の宝物をまとめた「地域資源マップ」づくり(91年)や、源流から河口まで市内にある水俣川の行方をまとめた「水の経絡図」づくり(94年)。さらに、自然とともに暮らしていくための「生活ルール」を住民自身が話し合いで決める「地区環境協定制度」。99〜01年度には地域住民による主体的な環境共生型地域のモデルづくりを行う「水俣環境共生モデル地域形成助成事業」など、事業が軌道に乗るまでには10年近い地域再生にかける手探りの取り組みがありました。今、水俣の村びとは「私たちの地域は無限集落です!」と笑顔で誇らしげに来訪者を迎えてくれます。


地域再生に取り組む仕組み、住民参画

 水俣市は1998年度にISO14001の認証を取得し、その効果を実感。その後学校版、保育園・幼稚園版、旅館・ホテル版、畜産版と、地域全体に環境行動を広げています。さらに、03年度には自己適合宣言を実施、行政サービスの相手方である市民を中心とした監査体制としました。

 市は08年度、環境基本条例の改正と環境基本計画の改定を行いました。その策定過程にも工夫があり、(1)市民が主体の「環境首都まちづくり委員会」(公募委員3人を含む15人委員で構成)と、関心のある市民が自由参加できる「環境首都まちづくり市民会議」、(2)市職員による「環境首都まちづくり推進会議」(市長、副市長、関係課長等で構成)と、「環境首都まちづくり研究会」(関係課職員)によって多様な議論と課題の共有がなされました。条例は環境行政の理念と指針そして方向性が明確化され、計画には「環境首都まちづくりへの挑戦」との副題が付けられました。「環境首都まちづくり市民会議」は「環境モデル都市推進委員会」に発展し、五つの円卓会議では市民が主体的に動き出しています。

めざせ!環境首都、そして持続可能な社会へ

 水俣市は地域再生を果たすため、まず地域をじっくりと見つめ直し、再発見した地域資源の価値を住民とともに再評価しながら、人が自然に動いてしまう仕組みづくりにお金をかけずに取り組んできました。この水俣市の姿は、経済的、社会的、環境的に持続可能な社会づくりをはじめようとしている多くの自治体に勇気を与えてくれることでしょう。

 住民の健康と健全な環境なしには社会も経済も成り立たちません。環境と経済の両立をめざす水俣市の取り組みは今後ますます社会の注目を集めることでしょう。環境首都の獲得ひいては持続可能な地域社会の実現に向け、私たちも積極的に応援していきます。

※以上、環境市民「みどりのニュースレターNo.193」から転載。


投稿者 : kankyoshimin 投稿日時: 2007-12-21 19:10:32 (2228 ヒット)

北九州はなぜ1位になりえたのか

環境首都コンテスト全国ネットワーク主幹事団体
環境市民 代表理事 すぎ本 育生

表彰式の様子
表彰式の様子(2007年3月30日 北九州市内にて)

 2006年度の環境首都コンテスト第1位は、第1回以来5年ぶりの参加された北九州市になりました。北九州市の総得点は、767点(1020点満 点)と非常に高いものがあります。また、すべての質問分野で6割以上の得点をあげるという、施策展開において弱点が見当たらない結果となっています。

 北九州市がこのように高い評価となった主要因としては、従来から続けてきた公害の克服、環境産業の育成に加えて、この5年間ほどに総合的な環境行政の仕組みづくりと、住民参加、そして多様な施策展開を行ってきたことにあります。

環境首都づくりに取り組むシステム

 現在、北九州市の環境政策の基本にあるのが「世界の環境首都」をめざしてつくられた総合的な行政システムです。市では、環境首都を「持続可能な社会」として定義し、市民とともに「グランド・デザイン」をつくりました。その策定のため2003年には、300回以上に及ぶ市民集会、企業研修会、フォーラムなどを開催し、意見や提案を1,000件以上集めました。そして2004年には市民、企業等からなる「環境首都創造会議」でグランド・デザインを策定しました。この会議は、市の諮問機関ではなく多様な主体の合議機関として運営したということです。

 グランド・デザインは、そのタイトルに「人と地球、そして未来の世代への北九州市民からの約束」とあるように行政計画ではなく、地域社会の合意計画という位置づけになっています。デザインには持続可能な社会づくりに必要な三つの分野(社会、環境、経済)の柱をたて、「北九州市環境行動10原則」を定め、250のプロジェクトを掲げています。

 すでに、住民参加型の様々なキャンペーンや、自然エネルギー活用推進、ごみの削減、環境教育、自然環境保全、国際環境交流事業等を展開していま す。これらの事業は、「環境首都予算」としてまとめられ、2006年度は207事業、約116億円になっています。このような政策を統合的に進めるため に、環境局に環境首都推進室を設置しています。そして各局の事業調整を行うため部長級の専任者を置き、また関係各課長を集めた環境首都創造会議事務局部会を設置し、予算化や施策推進の調整を行っています。

 まちの将来像と目標を明確化し、戦略的な施策展開が可能な組織づくりと予算による裏打ちは、環境首都づくりにとって必要不可欠です。北九州市はこの課題にきっちりと取り組んできたと言えるでしょう。

進んだ住民参加

 大都市は、一般的に住民参加が不得意だと言われます。100万都市ともなれば、人口規模の小さい自治体に比べて取り組みが難しくなる傾向があるで しょう。北九州市も、従来はそのような批判が多くありました。ただ、この数年間ほどで、環境行政に関しては、かなり住民参加が進んだと考えられます。例え ば、「エコライフステージ」という環境活動のキャンペーン事業は、2005年度には2か月にわたって54の事業が実施され、企画運営に213団体、60企業5,706人が加わり、参加した市民が述べ317,074人にもなっています。

 北九州市は自治体としては珍しく、自然環境保全基本計画を策定していますが、その推進と進行管理のためのパートナーシップ組織として「自然ネット」 をつくっています。自然ネットには24の環境団体が参加し、その活動の中心を担っています。また、自然環境の写真データベースを構築するため、市民が気軽 に調査に参加できる自然発見というテーマのフォトコンテストを開催しています。その結果、市民から市内で見られる生き物や風景など、1,000点にも及ぶ 写真が寄せられました。

 北九州市の住民参加は、自治基本条例の制定、住民からの協働事業提案制度の制定など、まだまだより広くより深くしていくことが求められています。が、この数年間の住民参加の具体的推進が、北九州市が第1位になった一つの要因であることは間違いありません。

アジアの地域社会と環境改善を具体化

 北九州市は、アジアの地域社会と環境国際交流を盛んに行っています。例えば、インドネシアのスラバヤ市では、廃棄物埋立地に投棄される生ごみから 発生するメタンガスの発生抑制を図るため、地域に根付く技術として生ごみ堆肥化技術を開発し、普及を行っています。現地のNGO、コミュニティ、行政との 協働によって、20世帯から始めたモデル事業が8,000世帯にまで拡大し、家庭からの生ごみ発生量が大幅に減少しました。

スラバヤ市での活動の様子
スラバヤ市での活動の様子

 フィリピンのセブでは、大気汚染モニタリングの技術指導、住民が参加した河川清掃への支援、水環境改善のための小型生活排水処理施設建設への技術 支援などを行ってきました。その成果もあり、市民、NGO、企業、行政などが連携して「メトロセブ」環境協議会を設立し、河川環境改善などの具体的な取り 組みを始まっています。市ではこのような交流を実施するための組織として、環境局環境国際協力室も設けています。

さらに環境首都に向けて

 北九州市は、施策展開においてかなり環境首都に近づいています。今後はその施策効果を高めていくとともに、自動車に依存しない交通システムの実現や、より広範囲で大規模な自然エネルギー導入、住民参画の徹底などに積極的に取り組まれることを望みます。


投稿者 : kankyoshimin 投稿日時: 2007-12-21 19:10:32 (2103 ヒット)

総合1位の水俣市のどこが優れていたのか

環境ネットワークくまもと 宮北隆志

 今年、2006年は、公害の原点としての「水俣」にとって大きな節目となる年です。「水俣病」の教訓とは何か、また、めざすべき「環境モデル都 市」とは何かが、今、あらためて問われています。そのような中で、水俣市が昨年に引き続いて総合第1位を獲得したことの意味はきわめて大きいと思います。 また、持続可能な地域社会をつくるという私たち環境首都コンテスト全国ネットワークの思いを受け止め、第1回から5年連続での環境首都コンテストに参加し ていただいたことを心強く感じています。しかし、「環境首都」の称号を獲得し、持続可能な水俣を実現していくためには、市民・民間事業者・行政など多様な 主体の協働によるさらなる取り組みが必要です。

総合的な政策推進体制

 第一に、「環境モデル都市」をめざす取り組みが環境関連の部局(福祉環境部環境対策課)にとどまらず、企画課、商工観光課、農林水産課、教育委員 会など、他の部局との積極的な連携によって、きわめて多面的になされていることを挙げたいと思います。水俣市は、環境マネジメントシステムの構築をめざし て、1999年に熊本県下の自治体では最初に ISO14001の認証を取得し、2004年以降は市民による監査に基づく自己宣言方式へとシステムを深化させていますが、それにとどまることなく、家庭 版(1999年)、学校版(2001年)、保育園・幼稚園版(2001年)、旅館・ホテル版(2002年)、畜産版(2004年)と、水俣独自の環境 ISOの仕組みを生み出し、市職員、市民、児童・生徒などの環境意識の向上と環境負荷の削減に取り組むためのシステムを多面的に構築しています。

継続的に見直し、広げる

 第二に、継続的な取り組みの見直し・深化と、その面的な広がりという観点から注目されるのが、「元気村づくり条例」と「ごみ分別・リユース・リサイクル」の取り組みです。「水俣再生を環境から始めるためには、水俣の海・山・川を守り伝え、自然と共に生きる暮らしづくりを地区全員の合意のもとにすすめる」という理念に基づいて、1996年にスタートした「地区環境協定制度」 を、生活文化の向上という視点から深化させたものが、「水俣市元気村づくり条例」(2001年)です。「豊かなむらづくり」、「風格のある村の佇まいづく り」、「交流の促進」という三つの目的が条例の第1条に明示されています。このユニークな条例に基づき、地区の「生活学芸員」と「生活職人」によって運営 されているのが「村丸ごと生活博物館」 です。頭石地区(約40世帯、140名、高齢化率27%)が2002年8月に最初に指定され、昨年、2005年2月には、久木野地区(約100世帯、 220名、高齢化率50%)・大川地区(約170世帯、440名、高齢化率40%)が続いて指定されています。この取り組みの成果は、「親戚しか行かな かった村に日本や世界のあちこちから人がやってくるようになった」、「自分たちの生活文化を調べてあらためて自分たちの豊かさに気がついた」、「村が化粧 し始めた」などの言葉に表されています。

写真 
頭石村丸ごと生活博物館

 一方、2度にわたる小型ガスボンベの爆発による焼却炉の損傷を直接的な契機として、1993年から始まった水俣方式のごみ分別の取り組みにおいて も、その時点で最善の再生利用のあり方を追求するという視点から、継続的な分類項目の見直しがなされています。市内で約300のステーションで展開されて いるこの取り組みは、地域の学校教育との連携も模索されています。2002年からは、生ゴミの堆肥化などにも取り組み、埋め立て最終処分場の残余年数の大 幅な延長を実現しています。また、エコタウンの田中商店(エコボみなまた)との連携で、2003年以降、南九州における900ml茶びん(「Rびん」)の統一リユースモデル事業にも意欲的に取り組んでいます。

 写真
回収された900mlのRびん(水俣エコタウン田中商店)

 企業の拡大生産者責任を明確に意識した「Rびん」の取り組みは、リサイクル社会からリユース社会への転換を促すものとして評価され、県レベルでの新たな市民運動(「Rびんを広めよう会」・「Rびんで飲もう会」)の展開につながっています。

人とネットワークの存在

 第三に、行政職員、市民グループ、地元企業からの様々な提案を、関係者が互いにしっかりと受け止め、その提案を活かし、実行することができる人と ネットワークの存在を挙げることができます。 1998年に誕生した「環境マイスター(現在26名)」、地場の大手4スーパーとの食品トレイの廃止協定の締結を実現した「ごみ減量女性連絡会議」、「水 の経絡図」や「水俣のお宝大辞典(地域人材マップ集)」を作り上げた「寄ろ会みなまた」、さらには「エコタウン協議会」や「ふれあい活動員(社会福祉協議 会)」など多様な市民グループ/NPO・民間事業者の存在とその活動が、行政の施策展開とがっちりと組み合わさっているところが水俣の強みと考えられま す。

 今年で4年目を迎える「食育パートナーシップ事業(主管:熊本県芦北地域振興局)」も、市(保健センター、農林水産課、教育委員会)、保育園・幼 稚園、小学校、栄養士会、食生活改善推進員、老人会、PTA、生産農家、漁業師会、NPO法人水俣教育旅行プラニング、久木野愛林館、グリーンスポーツみ なまた、熊本学園大学水俣学研究センターなど連携のもと大きな成果を挙げつつあります。

写真
食育ワークショップの成果(久木野愛林館)

協働で積み上げた歴史の存在

 最後に、水俣市の取り組みは、「ごみ拾い」や、「ポイ捨て禁止」、「節電・節水」、「リサイクル」などに止まることなく、企業の「拡大生産者責 任」を明確に意識し、地域の生活に根ざした、また人と自然とのつながりを大切に考えた「環境負荷削減の取り組み」と「生活文化を育む取り組み」が、市民・ 民間事業者・行政の協働で積み上げられてきたことを確認しておきたいと思います。また、水俣病被害者・家族、支援者、市民、事業者、行政職員がそれぞれの 立場で、長年にわたって「水俣病・水俣病事件」に向き合い、自らの暮らしのあり方や生き方、さらには、社会のあり方を問い続けてきた歴史が、昨年に続く総 合第1位の受賞と、数多くの先進事例の蓄積につながっているものと考えます。


第5回コンテストにおける水俣市の得点状況

総合得点:606点(過去最高)

得点率70 %以上:(B)EMS構築、(G)パートナーシップ、(I)自然環境保全、

         (J)健全な水循環

得点率50%〜70%:(A)アジェンダ・基本計画、(C)情報公開、(E)自治体交流、

                   (H)環境学習、(K)景観形成、(O)環境産業推進


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わがまち自慢

第35回 気仙沼市


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